産業医や主治医との面談で、本当はつらいのに「大丈夫です」と言ってしまう。
そんな経験はありませんか。
我慢して相手に合わせると、その場は丸くおさまった気がします。
でも面談で状態が正確に伝わらないと、復職の判断や治療の方針が、実態とずれてしまうことがあります。
この記事では、我慢グセのある私が、医師に状態を正しく伝えるために意識したことを、アサーティブ(相手も自分も大切にする)な伝え方とともに、ひとりの当事者の記録として整理します。
そのまま使えるフレーズ例や、面談前の準備テンプレートも載せました。
※この記事は休職を経験した個人の体験に基づくものであり、専門的な診断・治療に代わるものではありません。
「大丈夫です」と言ってしまって、後で困っていませんか
産業医や主治医との面談で、本当はつらいのに「大丈夫です」と言ってしまう。
無理して相手に合わせて、後から「あれを言えばよかった」と後悔する。
私はまさにこのタイプでした。我慢して相手に合わせれば丸くおさまる、と思い込んでいたのです。
でも、面談で状態を正確に伝えられないと、復職の判断や治療の方針が、実態と合わないものになってしまいます。
我慢グセのある私が、医師に状態を正しく伝えるために意識したことを、コミュニケーションの考え方とともに整理します。
「我慢して合わせる」のは、実は自分を守れていない
私の面談での失敗は、「自分が我慢すればいい」という考えから来ていました。
相手の時間を取らせたくない、弱音を吐くのは申し訳ない。そう思って、つらさを小さく言ってしまう。
伝え方の3つの反応パターン
コミュニケーションには、大きく3つの反応パターンがあると言われます。
自分がどれに当てはまるかを知るだけでも、伝え方を見直すきっかけになります。
- 攻撃的:自分の主張を相手にぶつける(相手を大切にできていない)
- 受け身:自分を抑えて黙り込む(自分を大切にできていない)
- アサーティブ:相手への配慮と自分の主張を両立させる(理想形)
私は完全に2番目、自分を抑えて「申し訳ありません」と引いてしまうタイプでした。
うつ病の認知療法・認知行動療法マニュアル(厚生労働省)でも、弱々しく黙り込む受け身の反応に対して、相手への配慮と自分の主張の両方を込めた伝え方が紹介されています。
我慢は一見おだやかですが、本当の状態が相手に伝わらない点で、実は自分を守れていません。
相手への配慮と、自分の状態。両方を伝える
では、どう伝えればいいのか。
マニュアルで紹介されているのは、相手への配慮と自分の要望を「ひとつに融合させる」言い方です。
例えば仕事の場面では、
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません(相手への配慮)。ただ、下準備はできていて、あとはまとめるだけなので、もう少しだけお時間をいただけないでしょうか(自分の状況と要望)」
というように、穏やかに、しかし自分の事実を省略せずに伝えます。
これを医師との面談に置き換えると、
「お忙しいところすみません(配慮)。ただ、朝はまだ起き上がるのがつらく、午後にならないと集中できない状態が続いています(自分の事実)」
というように、遠慮で事実を削らないことが大切でした。
我慢して「だいぶ良くなりました」とだけ言うと、本当はまだ厳しい部分が伝わりません。
そのまま使える|医師面談の伝え方フレーズ例
言葉に詰まりやすい方のために、私が実際に使った(使えばよかったと思う)言い回しを挙げます。
配慮+事実のセットになっているのがポイントです。
- 「お忙しいところすみません。ただ、朝はまだ起き上がるのがつらく、午後にならないと集中できない日が続いています」
- 「良くなった部分もありますが、気分の波はまだあります。両方お伝えしておきたいです」
- 「先生のご判断を伺いたいのですが、私としては今は〇〇がまだ不安に感じています」
- 「うまく言葉にできないので、メモにまとめてきました。見ながらお話ししてもいいですか」
面談前に「事実」を書き出しておく
その場で言葉が出ないタイプの私には、事前の準備が効きました。
面談の前に、伝えたいことを書き出しておくのです。
書き出しテンプレート(事実ベース)
- 睡眠:何時に寝て何時に起きるか/夜中に目が覚めるか
- 食欲:3食食べられているか/量は減っていないか
- 気分:一日の浮き沈み/つらくなりやすい時間帯
- できること・できないこと:家事、外出、PC作業など
- 不安なこと・聞きたいこと:復職の見通し、薬のことなど
このとき気をつけたのが、「たぶん先生は早く戻したいはずだから」といった、相手の心を勝手に読む決めつけを混ぜないことです。
決めつけで遠慮すると、また我慢する方向に戻ってしまいます。
事実だけを、落ち着いて伝える。
これを準備しておくと、本番で「大丈夫です」と言ってしまうのを防げました。
最初からうまく伝えられなくて当然です。
うまくいかなければ、次の面談で何を変えるか考えればいい。
少しずつで十分でした。
主治医・産業医・人事で「伝える内容」は変えていい
同じ「伝える」でも、相手によって役割が違います。
私は相手ごとに伝える内容を分けておくと、面談がぐっと楽になりました。
- 主治医:症状の率直な事実(眠れない・気分の波など)。治療方針の判断材料になる
- 産業医:働ける状態か、必要な配慮は何か(時短・在宅など就労視点)
- 人事・上司:業務調整の希望(残業を控えたい等)。プライベートな症状の詳細まで話す必要はない
「誰に何を伝えるか」を分けておくと、伝えすぎ・伝えなさすぎの両方を防げます。
復職に向けた各所との連携全体は、復職が怖いと感じるあなたへでも整理しています。
よくある質問(面談の伝え方)
Q. 本音を言うと、復職が遅れませんか?
私は「正確に伝えるほうが、結局は近道」と考えるようにしました。無理に良く見せて早く戻り、再発するほうが回り道になりかねません。事実を伝えるのは、わがままではなく、適切な判断をしてもらうための材料提供だと捉えています。
Q. メモを見ながら話してもいいですか?
まったく問題ありません。むしろ要点が漏れず、限られた診察時間を有効に使えます。私もメモを持参し、「見ながら話します」と一言添えていました。
Q. うまく話せる自信がありません
完璧に話せなくて大丈夫です。「うまく言えないのですが」と前置きしたうえで、「つらい部分がまだあります」と一言添えるだけでも、伝わり方は変わります。少しずつで十分です。
まとめ
- 「我慢して合わせる」受け身の伝え方は、自分の状態が伝わらず自分を守れていない
- 伝え方には攻撃的・受け身・アサーティブの3パターン。目指すのはアサーティブ
- 相手への配慮と自分の事実を両方込めて、遠慮で事実を削らない
- 面談前に睡眠・食欲・気分などを事実ベースで書き出す。相手の心を読む決めつけは避ける
- 主治医・産業医・人事で伝える内容は変えてよい
伝え方は、練習すれば少しずつ変わります。
我慢して自分を後回しにせず、配慮と事実をセットで。
それだけで、面談はあなたを守る時間に変わっていきます。
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※この記事は休職を経験した個人の体験に基づくものであり、専門的な診断・治療に代わるものではありません。つらさが続くときは、主治医やカウンセラーにご相談ください。

