復職を目指してからずっと、どこか気まずい思いを抱えていました。
会社のルール上、要因と再発防止策をまとめて報告するプロセスがあります。
その資料を作りながら、ずっと引っかかっていることがありました。
「今回の不調は、自分の頑張り方の問題だったのか。それとも、職場の側にも原因があったのか」
正直に振り返ると、後者だと感じる部分が大きくありました。
それでも会社に出す資料には、どうしても「自分がこれからどう気をつけるか」ばかりを書くことになる。
原因の一部は環境にあると思っているのに、対策は個人に求められる——
このねじれに、資料を書く手が止まったことが何度もありました。

主治医や外部のカウンセラーからも「環境要因の方が大きいのでは?」という意見をもらっていました。
この記事は、そのジレンマにどう向き合い、どう折り合いをつけたかの記録です。
同じように復職の資料作りで手が止まっている方の、考えるきっかけになればと思います。
なお、私は産業医でも人事の専門家でもありません。
ここに書くのは、あくまで一個人が試行錯誤した経験です。
会社ごとに制度や文化は違うので、実際の進め方は主治医・産業医・人事の方とよく相談しながら決めてくださいね。厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」にも、再発防止に向けた考え方が整理されています。
復職の資料作りで感じた、気まずい違和感
復職支援の枠組みは、基本的に「本人が今後どう気をつけるか」を書面にすることを求める作りになっていると感じました。
考えてみれば当然で、会社側から見れば、自社の体制や進め方に非があったと明文化することは簡単ではありません。
一方で、心身の不調の原因として、クライアント対応を含む人間関係や、仕事の量・質が大きく関わっているケースは少なくないと言われています。
私自身も、振り返れば「自分の対処だけでは防ぎようがなかった部分」があったと感じています。
つまり、「原因は環境側にもあるのに、対策は個人に求められる」という非対称が、最初からそこにあったのです。
これは私だけの特殊な状況ではなく、復職を経験する人の多くが、多かれ少なかれ直面する構造なのではないかと思います。

「他責」に聞こえてしまう気まずさ
この違和感を、そのまま会社に伝えればいいかというと、そう単純ではありませんでした。
復職を控えた立場で意見を出すこと自体に、どこか気まずいものを感じていたからです。
「自分は悪くない、原因は会社にある」という順番で伝えると、どれだけ事実に基づいていても、相手には「他責」に聞こえてしまう可能性があります。
復職を控えている立場で、関係をこじらせたくない気持ちも強くありました。
かといって、環境要因を一切なかったことにして「全部自分の努力不足でした」と書くのも、実態と違いますし、同じ働き方に戻ればまた同じことが起きかねません。
「本音を隠して当たり障りのない資料を出すか」「本音を出して関係を悪くするリスクを取るか」
私はしばらく、この二択で悩んでいました。

たどり着いた考え方:順番を変える
悩んだ末に私がたどり着いたのは、「言う内容」ではなく「言う順番」を変えるという発想でした。
まず自分にできる対処(自助努力)をきちんと言葉にして、実践する姿勢を見せる。
信頼が積み上がったところで、そのうえで初めて、環境側の要因について建設的に相談を持ちかける。
同じ内容でも、自助を語らずに環境要因だけを出すと他責に聞こえ、自助を尽くした後なら正当な問題提起として受け止められやすい。

これが、私が試行錯誤の末に見えてきた違いでした。
具体的には、こんな順序を意識しました。
- まず、自分が実際に取り組む・取り組んだ対処法を伝える
- そのうえで、事実として起きていたこと(環境側の要因)を、感情を交えず淡々と伝える
- 「責めたいわけではなく、再発を防ぐために一緒に考えたい」という協働の姿勢を示す
- 「こうしてもらえると助かる」という、実現可能な提案の形にする
これは、アサーション(自分の気持ちや意見を、相手を尊重しながら伝えるコミュニケーションの考え方)の枠組みに近いと、後から気づきました。

事実を伝え、自分の対処を伝え、提案し、協働の姿勢で締めくくる——
という流れです。
大切なのは、「自分は悪くない」を主張することではなく、「一緒に再発を防ぎたい」という着地点を最初から共有することだったように思います。
「個人では防ぎきれない領域がある」と認めることについて
もうひとつ、私の中で意外だったのは、「自分の努力だけでは根本的に防げない部分がある」と認めることに、それほど後ろめたさを感じなくなったことです。
働き方や仕事量、人間関係のような要因は、個人がどれだけ気をつけても、環境が変わらなければ同じ負荷がかかり続けます。
それを正直に認めることは、他責でも甘えでもなく、むしろ自分の状態を正確に把握できている証拠なのではないか——
そう捉え直せたことが、資料作りを前に進める助けになりました。
もちろん、これは私個人の考え方の一つです。
感じ方は人それぞれですし、無理に自分を納得させる必要もありません。

迷ったときは、主治医や産業医など、第三者の視点を借りるのも大事だと思います。
産業医・主治医に状態を正しく伝える方法も、復職の気まずさを感じたときの参考になるかもしれません。
資料作りで気をつけたこと
復職を控えた気まずさを抱えながらも、再発防止策の資料を実際に書くときは、次のようなことを意識しました。
- 感情的な表現より、事実ベースの記述を心がける
- 「〜のせいで」ではなく「〜という状況があった」という言い方にする
- 自分の対処法は、できるだけ具体的に(実行可能なレベルで)書く
- 環境側への提案は、断定ではなく「相談したい」というトーンにする

どこまで正直に書くか、どこまで会社に配慮するかは、正解が一つあるわけではありません。
私自身、何度も書き直しながら、少しずつこの塩梅を探っていきました。
まとめ
- 復職が気まずいと感じた背景には、原因が環境側にあっても対策は個人に求められがちという非対称があった
- 環境要因を先に出すと他責に聞こえやすい。自助努力を先に語り、信頼を得たうえで建設的に協議を持ちかける、という「順番」が助けになった
- 「個人では防ぎきれない部分がある」と認めることは、他責ではなく自己認識の正確さだと捉え直せた
復職の資料作りは、正解のない難しい作業です。
もし今、同じジレンマで手が止まっているなら、「何を書くか」だけでなく「どの順番で伝えるか」を考えてみると、少し道が開けるかもしれません。
無理のない範囲で、必要なら主治医や産業医にも相談しながら進めてくださいね。

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